銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
思わぬ再会。

またベッドで彼と一晩過ごすだなんて……これは神の悪戯?

しかも、今度は唇にキスされて、胸にも触れられた!

思い出すだけで顔の熱が一気に上がる。

きゃあ〜!

もうお嫁に行けない〜!……ってもう公爵令嬢でもないのに……。

「ダメよ。思い出さない!」

思わず声に出して言うと、クレアが私の顔を覗き込んできた。

「セシル様?……お顔が赤いですけど……。ひょっとして熱でも?」

「だ、大丈夫よ。ちょっといろいろあって疲れただけ。何でもないわ」

咄嗟に笑顔を作り、必死になって取り繕う。

「そうですか?ベッドで休まれては?」

まだ心配そうに私を見てクレアがそう勧めるが、私は小さく首を振って断った。

「ほ、本当に大丈夫だから」

男の人に胸を触れたのを思い出してた……なんてクレアには絶対に言えない。
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