オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
「いつもお世話になってます。エカリーノの副社長、吉岡と申します。うちの広報がここで撮影していると聞いてお邪魔しました」

浩太郎さんの爽やかな笑顔にリーチェの編集さんたちのさっきまでの厳しい表情は一変し、黄色い熱気に変わる。

「こちらこそ大変お世話になっております」

「ところで……撮影は順調ですか?」

浩太郎さんが尋ねると、担当さんが我先にと一歩前に出る。

「はい。今日はエカリーノの広報担当者さんにオススメのコスメを紹介してもらうための撮影で先ほど商品の方の撮影は終わったんです。あとは広報担当の宮園さんのお写真だけなんですが……」

敢えて言葉を濁すようないい言い方に留めてくれてるが、全然フォローになっていない。

すると浩太郎さんがあからさまに呆れた顔を私向けた。

「ご迷惑おかけしてすみません」

私の代わりに頭を下げる浩太郎さん。

これってある意味公開処刑なんじゃない?

それに浩太郎さんがいたら余計に顔が強張っちゃうじゃない。

なんで来るのかな〜。

浩太郎さんにはこう、仕事ができる私を見て欲しかったのに……
< 103 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop