オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
浩太郎さんがアメリカへと発ってから1週間が過ぎた。

私たち広報は新商品のPRで大忙しだった。

「宮園、2番に四宮百貨店の富岡さんから」

「はい……もしもしお電話代わりました宮園です」

浩太郎さんのことを考える余裕がないほどの忙しさはある意味救いだった。

販促との打ち合わせや撮影、イベントの準備、取材の依頼などで毎日ヘトヘトだった。

日本とロサンゼルスの時差は16時間。

私が仕事を終え帰宅する頃、向こうは深夜だ。

それでも浩太郎さんは欠かさず連絡をくれる。

「仕事は順調ですか?」

『ああ、おしゃれなデザインのものになりそうだ』

エカリーノとのコラボ企画だ。

「早く見たいな〜」

『おい、そこは早く浩太郎さんに会いたい……じゃないのか?』

会話の節々に甘い言葉が入ってくる。

もちろん、そうだけど口に出すと余計に会いたくなっちゃうから言わない。
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