オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
すると副社長は私をじっと見つめニヤリと口角をあげた。

「あの?」

一瞬身構えると何を思ったのか副社長は私を指さした。

「宮園遥。あんたみたいな女がタイプだ」

「な、な、何をご冗談を。真面目に答えてください」

さっきから質問をしてもまともに答えてくれないし、何かいったかと思えば変な事を言い出すし
これまでの会話がICレコーダーに録音されてると思うとなんだか停止ボタンを押してしまいたくなる。

「こんなこと冗談で言えるかよ」

いや言ってる。

「あの……副社長にとってはどうでもいい質問かもしれませんが、私にとってはこれも大事な仕事の一つです。質問にちゃんと答えて頂ければすぐに終わります。どうかご協力頂けませんか?」

感情を押し殺す様に淡々という私に副社長の表情が鋭くなる。

「あのな~~。言わせてもらうが、俺は別にお前を茶化しているつもりでもふざけているわけでもない。じゃあ……なんで昨夜俺が女にビンタされたか教えてやるよ。理由はお前だ宮園遥」

「はい?」

私は首を傾けたまま思考が一旦停止したように固まる。

意味がわからない。

すると副社長は大きく溜息をこぼし、ソファの背にもたれかかると説明を始めた。
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