オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
私が失恋した事をわかっててきいているの?それともこんなチープな質問ばかりする私に対しての仕返し?

忘れるわけがない。

高校2年の時に同じクラスになった智也と席が隣になった事がきっかけで仲良くなった。

単なる友達から恋愛の対象へと変わるのは思った以上に早かった。だけど自分から告白する勇気がない私は遠くから見ているだけだった。そして気がつけば高校卒業前日。卒業したら二度と会えなくなる。

智也の姿を見た私はいても立ってもいられず告白し、智也はOKしてくれた。そして迎えた初デートは卒業式が終わった後に行った。水族館だった。

あの時は10年も付き合うなんて思いもしなったし、こんな未来が待っているなんて想像もしていなかった。

「……水族館でした」

「じゃあ~俺もそれで」

全く。やる気がないにも程がある。でも文句を言える立場じゃないからそれ以上のツッコミは入れなかった。

他にも今のような質問がいくつか繰り返されやっと最後の質問になった。

これが終われば開放される。

だがこれこそが一番抵抗のある質問だった。

私は姿勢を正し作り笑顔を向け最後の質問を読み上げる。

「最後となりましたが、吉岡副社長。ズバリ好きなタイプを教えてください」
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