オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
『俺と付き合え』ICレコーダーの小さなスピーカーから聞こえる副社長の声にドキッとして入力する手が止まる。
「全く……こんな記事そのまま載せれるわけないじゃん」
不満と照れが入り混じた私の独り言が誰もいない広報室に響く。
副社長の言ったまんまの言葉を載せるわけにはいかず、ニュアンスを残しつついかにも副社長が言いましたって感じに仕上げて何とかそれらしくなったところで時計を確認する。
「げっ!もう11時?!」
記事を保存し、ICレコーダーの電源をオフにして引き出しにいれる。そして帰り支度をしながら今から会社を出て電車に乗るまでの時間を計算をする。
急いでいけば終電に間に合う。
そう思った私は鞄を手に取り立ち上がった。
するとコツコツと靴音が聞こえてきた。おそらく警備の人だろうと思っていたらまさかの副社長だった。
「副社長。こ、こんなところでなにしてるんですか?」
びっくりしてのけぞりそうになる体を何とかキープしたまま叫びに近い声が出た。
「何してるってそれはこっちのセリフだ。こんな遅い時間までそれも一人で何やってんだよ」
副社長らしからぬ同僚にでも話すようなフランクな話し方につい相手が会社のナンバー2だと言うことを忘れてしまいそうになる。
「仕事に決まってるじゃないですか。こう見えて結構忙しいんですよ」
口を尖らせてから相手が副社長だと思いだし慌てて尖らせた唇を元に戻す。
「……それはわかってる。だけどなんで一人なんだ?」
「それは……別件でいろいろと」
「全く……こんな記事そのまま載せれるわけないじゃん」
不満と照れが入り混じた私の独り言が誰もいない広報室に響く。
副社長の言ったまんまの言葉を載せるわけにはいかず、ニュアンスを残しつついかにも副社長が言いましたって感じに仕上げて何とかそれらしくなったところで時計を確認する。
「げっ!もう11時?!」
記事を保存し、ICレコーダーの電源をオフにして引き出しにいれる。そして帰り支度をしながら今から会社を出て電車に乗るまでの時間を計算をする。
急いでいけば終電に間に合う。
そう思った私は鞄を手に取り立ち上がった。
するとコツコツと靴音が聞こえてきた。おそらく警備の人だろうと思っていたらまさかの副社長だった。
「副社長。こ、こんなところでなにしてるんですか?」
びっくりしてのけぞりそうになる体を何とかキープしたまま叫びに近い声が出た。
「何してるってそれはこっちのセリフだ。こんな遅い時間までそれも一人で何やってんだよ」
副社長らしからぬ同僚にでも話すようなフランクな話し方につい相手が会社のナンバー2だと言うことを忘れてしまいそうになる。
「仕事に決まってるじゃないですか。こう見えて結構忙しいんですよ」
口を尖らせてから相手が副社長だと思いだし慌てて尖らせた唇を元に戻す。
「……それはわかってる。だけどなんで一人なんだ?」
「それは……別件でいろいろと」