オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
副社長が乗るとドアが閉り、運転手さんがさっと運転席に乗り込み「ガチャ」とドアをロックする音がする。

ここまで来て逃げようとは思わないけどロックされるとなんだろう。囚われちゃったって気になってしまう。もちろん安全のためだってわかってるけど……

運転手さんに住所を聞かれ答えると車はゆっくりと動き出した。

……さすが高級車だけあって私の車とは打って変わって超静か。勿論今座っているシートも革張りで座っていても疲れ知らず。なーんて感動している場合じゃない。

例のお付き合いするって話。お断りするなら今しかない。

「あの――」

「そうだ。今度の土曜日だが用事はないな?」

断ろうとしたが躊躇している間に副社長にささっと用件を言われてしまった。

「ま、ま~特にはありませんが」

「じゃあ、14時に迎えに行く」

「は?」

あまりにも突拍子もないことを言う副社長に呆れ混じりと驚きがミックスされた。運転手さんの方がピクリ動いたほどだ。

対して副社長は冷静沈着という言葉がぴったり。私の変な声にも動じず話を続ける。

「あとこの地味で色気のないパンツスーツとかはよしてくれよ。せめてワンピースぐらい着てこいよ」

副社長は私のスーツの裾をつまんだ。

確かに地味なスーツだと思う。でも動きやすさを考えたらこれが一番いい。と言い返したかったが口で負けるのは目に見えてるから悔しいけど言葉を飲込んだ。

「分かりましたが、一体何があるんですか?」

「言ったらお前、絶対にいやだって言うだろうから教えない」
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