オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
それから車を走らせること30分。

車は靴で有名な高級ブランドショップの前で止まる。運転手さんが素早く車から降りると後部座席のドアを開ける。

「降りて」

副社長に言われ車から降りると私の腰に手を添える。そして誘導されるように店の中へを入る。

すると店員さんが副社長の顔を見るなりさっと駆け寄る。

「吉岡様いらっしゃいませ。お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

お待ちして……って来ること知ってたの?やっぱりセレブっていうのは違うな~と感心しながら
滅多に入れない店内をキョロキョロと眺めていた。するとなぜか案内されたのはエレベーター。

1階にもたくさん靴があるのに一体どこへ向かうのだろうと思っていると店員さんは最上階のボタンを押した。

エレベーターが最上階に着き扉があくとホテルのスイートルームを思わせる部屋があり、高級感漂う白の革張りのソファとテーブルがあった。

だけどどこをみてもここに靴は一足もない。

もしかして…仕事の打ち合わせとか?そう思いながら部屋を見渡しているとソファに座るように促される。

そして座ったと同時に店員さんが炭酸水の入ったグラスを差し出した。

「吉岡様いらっしゃいませ。今日はいかがいたしましょう」

スタイル抜群の女性店員が副社長に話しかけた。

「彼女に似合いそうな靴を見繕ってくれ」

「かしこまりました。では少々お待ちくださいませ」

ええええ?ななに?
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