オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
驚きを最大限に表現したいのにうまく言葉で表せなくて出てきた言葉は「嘘?!」あまりにもチープ過ぎる。

しかも浩太郎さんは「嘘じゃねーし」と私の言った言葉をそのまま捕らえている。

そんなやりとりをしているとトニーさんが私の方をチラチラ見ながら英語で浩太郎さんになにやら話しかけている。

気になって何を話しているのか浩太郎さんに尋ねると「ん?何でハルが驚いてるのか?って聞くから話してなかったって答えたけど?」と暢気に答えた。

「それ、私も同じです。なんでこんな大事なこと黙ってたんですか?私だって心の準備ってものが――」

「本当のことを言ったら来たか?」

「うっ……」

……多分。恐れおおくて断ったと思う。

う~~。何だか私以上に私の事を分かっているみたいで言い返せない。

そんなことを悶々と考えているといきなり「行くぞ」と声を掛けられる。

「え?ど、どこへ?」

浩太郎さんは上を指さした。それが何を意味するかなんとなくわかった私は一気に緊張でカチコチになる。

気がつけば私は浩太郎さんの服の裾を掴んでいた。

「なに?」

「私……帰っちゃだめですか?あんなセレブ中のセレブと一緒なんて無理です」

すると浩太郎さんは裾を掴んでいた私の腕を掴むと「無理」と言い、私は半ば強制的に最上階のレストランの個室へ連行されたのだった。
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