オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
「どうした?」

「ちょ、ちょっとときめいたかも」

心の声がぽろっと出てしまい、言ってしまってからハッと気付き口を押さえた。

すると浩太郎さんの顔がみるみるうちに赤くなる。

「だったらさ……だったらさっさと認めちゃえよ」

「何をですか?」

「俺に惹かれてるって」

「そ、それは……」

返事に困っていると上演開始のアナウンスが入り場内の照明が落とされた。

私は返事を保留にした状態でリクライニングシートにもたれかかる。

真っ暗だった天井に映像が映し出される。日が沈み徐々に暗くなると星が映し出される。

そして都会の空では普段あまり見ることのないたくさんの星たちに癒された。

チラリと浩太郎さんに目をやると腕をくんで眠っている。

寝てもいいぞって言っておきながら自分の方が先に寝てるじゃない。

でも憎めない。

彼のさりげないやさしさにときめいたのは嘘じゃない。

惹かれているのは確かだけど…でもごめんなさい。

やっぱり心の中に智也の影が消えるまでもう少し待っててください。

宙ぶらりんの状態で付き合ってしまっていることを申し訳なく思いながらも私は、天井に映る星の下で浩太郎さんの寝顔を見つめていた。
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