高校生の私と猫。

信じる

練習終了後、

道場には部長とM美と私の3人がいた。


私は部長に謝った。

「練習を中断させてしまい、すみませんでした。でも、私は本当に…」

『うん。見たんだよね?“ 白い手 ” を…』

「はい…」

『でも、みんなは見ていなかった。僕も見ていない。
けどね、信じるよ。はなちゃんは嘘つく子じゃないの、わかってるから』


M美も口を開いた。

『私も、信じる。はなちゃんは嘘なんてつかない!』

私は目頭が熱くなった。



『扉の前にいた1年生も、嘘つく子じゃないよね?』

「はい。真面目でいい子たちです」

『だから、はなちゃんが見たのは…そういうモノかもしれない。この道場、めちゃボロいしな!』

思わず、フフッと笑ってしまった。
確かにボロい…!


『俺もM美ちゃんも、はなちゃんの話を信じる!けど、手 のことは今後言わないで欲しい。弓道部にお化けが出るって噂になるのは困るだろ…』

「そう…ですね」

『困る困る!心霊スポットになるのも困るし、部員が集まらなくなるのも困る~~』

部長はおどけてみせた。


『もし、また、見えたときは…僕かM美ちゃんに言え!…怖い話は得意じゃないけど、聞くから!!』

『私も、はなちゃんの話聞くよ。信じてるから』






私は足元を見た。

涙が、こらえきれなかったから。
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