嘘つきな君
「痛っ」
腫れあがった右足と、打ちつけられた体が痛む。
それでも、そんな事に構っていられず、慌てて体を起こした。
その時。
「頼むから、大人しくしてろ」
小さな溜息と共に再び抱き上げられて、そのまま歩き出した彼。
それでも、見上げた先にあった彼の顔はさっきとは別人で、まるで私など見えていないかの様にどこか冷たい表情で前だけを向いていた。
その姿に、泣き出しそうになる。
それでも、引き下がる事も出来ずに声を上げる。
「常務――」
「タクシーを呼んである」
「話をっ――」
速足で歩く彼は、一度も私を見てはくれない。
それどころか、私の言葉すら聞いてはくれない。
あっという間に外まで出た彼は、そのまま道路まで私を抱き上げたまま進む。
そして、路上に停められていたタクシーの前で立ち止まった。
すると、待っていたかの様にドアが開いて、その中に私を押し込んだ。
「常務っ! 待ってください!」
「お願いします」
声を荒げる私に目もくれず、タクシーの運転手に素っ気無くそう言った常務。
そして、まるで拒否するかの様にバタンと扉を閉めた。
その瞬間、絶望にも似た感情が襲う。
悔しさと悲しさが襲って、涙が出そうになる。
そんな私を、まるで拒否するかのような瞳で見つめる彼。
そして、何の躊躇もなく踵を返して再び建物の中へと消えて行った。
腫れあがった右足と、打ちつけられた体が痛む。
それでも、そんな事に構っていられず、慌てて体を起こした。
その時。
「頼むから、大人しくしてろ」
小さな溜息と共に再び抱き上げられて、そのまま歩き出した彼。
それでも、見上げた先にあった彼の顔はさっきとは別人で、まるで私など見えていないかの様にどこか冷たい表情で前だけを向いていた。
その姿に、泣き出しそうになる。
それでも、引き下がる事も出来ずに声を上げる。
「常務――」
「タクシーを呼んである」
「話をっ――」
速足で歩く彼は、一度も私を見てはくれない。
それどころか、私の言葉すら聞いてはくれない。
あっという間に外まで出た彼は、そのまま道路まで私を抱き上げたまま進む。
そして、路上に停められていたタクシーの前で立ち止まった。
すると、待っていたかの様にドアが開いて、その中に私を押し込んだ。
「常務っ! 待ってください!」
「お願いします」
声を荒げる私に目もくれず、タクシーの運転手に素っ気無くそう言った常務。
そして、まるで拒否するかの様にバタンと扉を閉めた。
その瞬間、絶望にも似た感情が襲う。
悔しさと悲しさが襲って、涙が出そうになる。
そんな私を、まるで拒否するかのような瞳で見つめる彼。
そして、何の躊躇もなく踵を返して再び建物の中へと消えて行った。