ロマンスがありあまる
「元気そうだな」

床のうえに腰を下ろすと、父が話しかけてきた。

「うん、まあね」

私が返事をしたら、
「それだけか?」

父が話を急かしてきた。

「えっ…うーん、そうだな。

先月の始めに総務課から秘書課へ異動になったの」

話を続けた私に、
「えっ?」

父は驚いたと言う顔をした。

「まあ、要は人手不足って言うヤツで異動になっちゃったの。

仕事内容も総務課と特に変わりはないし、給料も総務課よりも全然いいから、別にいいんだけどね」

笑いながら話をしている私に、
「ふーん、そうか」

父はそう返事をしただけだった。

そんな父の様子に寂しさを覚えたのと同時に、変わらないその様子に私はホッと胸をなで下ろしたのだった。
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