ロマンスがありあまる
「だって、勉強嫌いだもん」

紫子はやれやれと息を吐いて、言い返したのだった。

「本当にいいの?」

確認のためにそう聞いたら、
「いいの!」

紫子は即答した。

「あっ、そんなことよりも何か食べたいものないの?」

「んーっ、特にはないかな」

紫子の質問に答えた私に、
「本当に?」

先ほどの私のまねをするように、紫子がもう1度聞いてきた。

「うん、特に」

私は首を縦に振ってうなずいたのだった。

「じゃあ、ゆっくりしてってね。

今、飲み物を出すから」

そう言った紫子に私は返事をすると、父が座っているソファーへと足を向かわせたのだった。

テレビに視線を向けると、バラエティ番組の再放送がやっていた。
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