透明人間・風
「え…!?」


思わず声を出してしまった。


殺された? 夏美ちゃんが?



事故じゃなくて…!?


「すみません、佐倉さんですか?」



ある一人のパリッとしたスーツに身を包んだ若者が次郎を呼び止めた



「はい?」


「こうゆう者です」


これを見せられたら 誰だって驚くだろう。

次郎が見たのは警察手帳だった。


「佐倉と申します。名字が同じだったもんで探しやすかったですよ。夏美さんについて、ちょっと」


「はぁ…。」



「御宅のお子さん咲さんでしたっけ? 実は夏美さんが亡くなった同じ時間に行方不明なんですよ。殺害されていたら…」



「ふざけるなっっ!」


「…失礼しました…でも聞いて下さい。娘さんがもし殺害されていたら遺体が出るはずなんですが部隊が調べても出て来ないんですよ。神隠しにあったみたいに」


「ぇ…」


姿を消した…?咲が?


「咲が殺された確証はあるのか?」


「いいえ、可能性があるというだけです。 もう一つのパターンは咲さんが加害者側、もしくは夏美さんが咲さんを殺害後、自殺したか」



「お前それでも警察か!咲さん殺害咲さん殺害って?俺の気持ちも考えて上でその言葉を発しているのか!?」



「佐倉次郎さん、少し声の音量下げて下さい。一応霊安な式ですから」


ちっと舌打ちをして佐倉刑事を次郎は睨んだ。
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