混 迷

···遺言とクレージー


次の日
吾妻の家に行く。

『へぇ、ここが
リョウの生れた家?』
『そうだ。嫌な思い出しかない』
『フゥーン』
アルと話ながら
家に入る。

家政婦が恭しく出迎えるので
アルは、びっくりしていたが・・

応接室に通されると
葵、雛、里さんと弁護士がいた。
アルは、
俺の会社の副社長で顧問弁護士だと
名乗った。

里さんは、またまた騒いでいたが・・
アルは、
「この人はクレイジーか?」
と、言って相手にしなかった。

葵は、
「母さん、黙ってくれますか?
騒ぐなら席を外してもらっても
良いのですよ。」
と、冷たくいい放つと
「母親に向かってなんてことを」と、里。
「兄さんも私も忙しい時間を割いて
来ているのです。
ごたくを聞きに来ているわけでは
ありません。
兄さん、アルさん申し訳ありません。
では、佐々木先生お願い致します。」
と、言った。

母・里は唇を噛んで黙るしかなかった。

雛は、黙って様子をみていた。

顧問弁護士の佐々木は、
「それでは。」
と、言って晴敏の遺言状を
開いた。
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