芸能人の彼と普通の女子高生。
そして、女の子はついに張り紙に書いてある何でも屋の事務所まで来た。
女の子が恐る恐る事務所のドアを開ける。
扉の向こうにいたのはこちらに背を向けて立っていた1人の男性。
『あの.....、貴方が、何でも屋さん、ですか?』
女の子の問いかけに、その男性はこちらに振り向く。
『......誰だ、お前』
そう言ってこちらを向いたその男性の顔を見た瞬間、
私の心臓はドクンと大きく跳ねた。
「えっ......?」
上映中にも関わらず、声が漏れてしまった。
見間違いかと思い、目を凝らして再度スクリーンをよく見る。
え、何?
どういうこと?
何が起こってるの?
なんで?
私の動揺をよそに、その男性は淡々と女の子と話しをする。
私は頭が真っ白になった。
聞き覚えのある声。
優しい声。
私の好きな声。
私に「おやすみ」って言ってくれた声。
突然やってきた現実に、私は驚きを隠せなかった。
スクリーンに大きく写っていたのは。
当たり前のように物語の中に現れたのは。
「奏大、......さん?」
今日まさに会う約束をしている奏大さんだ。