カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
試着室を出た私と慈英は手を繋いで戻っていく。


「恵と選ぶのか?」


気にしているようだ。

でも慈英に聞いても反応が一緒だし、どれが似合うのか分からない。


「お願いしてみようかな。」

「…………。」

「慈英、同じ反応だし。」

「それはどれも似合ってるから。」

「決まらないでしょ。少し雑誌とかでイメージを固めておく。」

「それがいいかも。俺は心菜が着たいドレスで構わない。」

「うん。」


あんなに種類豊富だと決められない。

少しイメージを膨らませる必要があると感じた。


「お疲れ様です。如何でしたか?」

「ドレスは少し考えてみます。」

「そうですね。一生に一度ですから拘って決めて下さい。」

「はい。」

「式までの予定、決めて頂きたい事柄など話させて頂きます。」


そう言って支配人が説明を始めたが、決める事が山のように溢れていた。

式までの詳細を説明され、何度も足を運ぶ必要があるようだ。

慈英に時間はある?

年度末になれば忙しくなるだろう。


「慈英、もう少し余裕あった方が…………。」

「大丈夫。これでお願いします。」


支配人に了承の意を伝えて、私達はブライダルコーナーを後にした。
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