カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
「ごゆっくり。バイトに戻ります。」

「あっ、心菜。」


慈英に呼び止められたが無視した。

背後でケイさんを責める声が聞こえてくるが、それが逆に真実だと告げている。

やっぱり慈英は軽い男なのかもしれない。


「揉めてるみたいだけど大丈夫?」

「…………店長はお2人をご存知ですか?」

「あー、まあ。」

「兄妹なんですね。」

「そうだね。もう一人、一番下に弟がいる。」

「へぇー、3人兄弟なんだ。」

「まあ本人に聞いて?あっ、岬さんが呼んでるよ。」


ちらりと慈英を見れば、手を上げている。

どうやら店員を呼んでいるようだ。

もう一人のバイトの子に視線を向けて、軽くお辞儀をした。


「早速、岬さんと喧嘩?」

「違います。斎藤さんの方が近いから。」

「まあいいけど。」


慈英と目を合わせるのは辞めた。

気持ちがコントロール出来ていない。

それは慈英の過去の恋愛を気にしているから。

軽い気持ちで、私も落とされたのかもしれないと…………。
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