カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

実際は違うのだろうか？


「おい、行くぞ。」

「今いく。」


女子で盛り上がっていたみたいだ。

結衣が急いで賢の隣に走って行く姿に、私と鈴乃も急ぎ足で男子に追いつく。


「何処も混んでるな。」

「休みは同じだから。」

「そうだよな。」


休日の混雑に戸惑ってしまうのは私だけじゃないみたいだ。

学生時代とはやっぱり少し違う。


「どの部署に配属だろうな。」

「営業とかが多いんじゃない？」

「賢は？やっぱり役員候補扱い？」

「まあ将来的には。最初は営業だろ。」


岬家の賢はやっぱり普通の社員とは違う道を歩んでいく事になるだろう。

ミサキ商事は大きな会社だ。

その役員候補になるからには相当の経験を積んでいくに違いない。

それは慈英も同じだっただろう。


「あれ？賢は海外に行かないの？」


ふと疑問が芽生えた。

だって慈英は海外から日本のミサキ商事に来たと言っていたから。


「行くかも。まあ俺だけじゃないけど。」


休日なのに、話す内容はどうしても会社の話になってしまう。

共通の話題が会社だから仕方ない。

まだまだヒヨッコの私達が会社で活躍する日は遠いだろう。

研修期間も残り一ヶ月ある。

そんな私達は新社会人として、休日の混雑に揉まれていた。