次期社長の溺愛が凄すぎます!
「よかったじゃないですか。近づいてくる男性を蹴散らしまくって死屍累々の主任に、果敢にも言い寄っている男があの藤宮さん。えーと、玉の輿ですね?」

死屍累々って……普通使う?

そりゃあ、過去に数人、“お誘い”をかけてくる男性は拒否していたけど。

そんなに何人もいないし、そこまでハッキリと拒絶した訳じゃあ……。

「飲みに誘うだけでも、鬼の形相になっていたはずの主任なのに~」

「だからちょっと待って、いろいろ聞き捨てならない。でも、今は就業時間。そんなことより仕事して、仕事。三島さんも席につきなさい」

パシッと真面目な顔をして言うと、三島さんは肩を竦めて席に戻っていった。

そう。とりあえず、今は就業時間。

会社なんぞにバラを贈りつけてくる藤宮さんの神経が疑われるけど、受け取ってしまったものはしょうがない。

後でメールをして、盛大に文句を言って差し上げようじゃないか。

確か、ロスは時差17時間だったかな。お昼休みにメールしたら、向こうも仕事中じゃないでしょう。

ふう……っと息を吐いて、気合いを入れ直す。

普段通りの業務を続けていたら、パソコンのメールに着信のお知らせ。

開いてみたら鶴川さんからで、また頭を抱えそうになった。

【バラを贈られたの? 藤宮部長が斎藤さんにご執心って噂は、本当のことなの?】

その文面に、この場に情報をリークした人間がいることを確信して三島さんを睨む。
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