次期社長の溺愛が凄すぎます!
「あなた、案外そそっかしいんですね」

『今のは麻衣子が悪い。いきなり俺の心配なんてするから』

人聞きの悪い不服を申し立てられて、あんぐりと口を開く。

「ちょっと待ってください、どうして私が悪いんですか。人の体調くらい私だって心配しますから。あなたの中での私は、どれだけ鬼なんですか」

『可愛らしい小鬼くらいかな。頑固だし、少し素直じゃない』

「あなたは喧嘩を売りに電話してきたんですか!?」

『そんなわけないじゃないか。突拍子もないな』

あなたの方がよっぽど突拍子もないよ!

絶対に私の台詞だからって状態じゃない? 今までだって、私よりも藤宮さんの方が唐突で意味不明なんだから!

『この間、迎えに来てくれたのが嬉しくて。明日も迎えに来てほしいなと思ったんだ』

ほら。また妙なことを言い始めてるし。

確かに前回、何故か空港まで迎えに行ったけど。

「あれは末松さんが来たからです。どうして私が迎えにいかなくちゃならないんですか」

『だめか?』

すごーくガッカリしているような声に、瞬きをした。

なんだろう。あの無表情が見えないせいか、声がいつもより表情豊かに聞こえる。

気のせいかな?
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