次期社長の溺愛が凄すぎます!
でも、奏斗が来週、就職お祝いを兼ねてコートを買ってくれるって言っていた。

付き合って半年だけど、社会人の彼氏は大人だと思う。

大学を卒業したら泊まりがけで旅行に行こうと約束していたけど、彼の仕事が忙しくて、バタバタしていているうちに延期になった。

次のゴールデンウィークには旅行しようねって約束して、それまでに仕事を覚えなくちゃと頑張っていて……。


いや、今はそれどころじゃないし。

そもそも、その奏斗が浮気してるとか、赤の他人様に言われてる真っ最中。


そんな発言をかましてくれた男性は、どこをどう見ても無表情過ぎる人だ。

男らしくキリッとした眉をしてて、くっきりした二重の目は感情がないように見える。鼻は高くて真っ直ぐ。

たぶん微笑んだらイケメンだろうに、冷たい表情からは威圧しか感じない。

彼はローテーブルを挟んだ向かいのソファに座り、その隣に弁護士の吉田さんが申し訳ないように腰かけていた。

と言いますか、そもそもあんた誰。

「どなたさまですか?」

「失礼。藤宮と申します」

そうして差し出された名刺を見て、二度ほど彼と名刺を見比べた。

【藤宮重工 企画本部 課長 藤宮圭一】

えーっと。この人は奏斗よりは年上……でも、まだ20代に見える。

課長とかって、けっこうおじさんがなるもんだと思っていたけど、世の中はこんなに若くても課長になれるのかな。

就活中に出会った人は、だいたいおじさんが多かった。

しかも藤宮重工って、就活中に何回も名前を聞いたことがある、かなり大手企業じゃない?
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