次期社長の溺愛が凄すぎます!
「な、何の話。私と部長はそんな関係じゃないし。ただ誕生日だからってくれたし、大したものじゃないって言ってたよ?」

「プラチナ、ダイヤモンドのペンダントを大したものじゃないって言うからには大物ね」

「は……?」

聞きなれない単語に、キョトンとしたら、母さんが苦笑してペンダントをプラプラさせた。

「だから、チェーンはプラチナだし、ペンダントヘッドの石はダイヤモンド」

「え。そんな、ないない。ダイヤモンドに見立てたイミテーションでしょ?」

「何を言ってるの。麻衣子は目が肥えてなかったのね~。昔、美術館にも通ったのに」

だって、昔からの知り合いとはいえ、再会してから三日だよ?

どこの世界に、通りすがりみたいな女相手に、ポイッとダイヤのペンダント贈る男がいるって。

「いい? よく見なさい、ここに材料の刻印がされているから。ああ、それと美夜ちゃん、鏡持ってきて」

母さんが指差す場所を見てみると、うっすらとさりげない、アルファベットが見えた。

懐かしい暗記問題だな。と、思い出しながら、元素記号を解読すると、それはまさしく白金を指し示す記号だ。

「お母さん。持ってきました!」

元気よく美夜ちゃんが小さな鏡を持ってくる。

母さんはそれを手に取って、ペンダントの石を摘まむと鏡に当てて小さくなぞった。
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