次期社長の溺愛が凄すぎます!
「ほら、見える? 鏡に傷がついたでしょう?」

鏡には、間違いなく小さな細い傷がついている。

「イミテーションの石なら、鏡に傷なんてつけられないわ。だからこれは本物のダイヤモンドよ」

自信満々の母さんを見上げ、呆然とした。

「それを裸で渡されたとは思えないから、箱かなにかあったんじゃないの? ブランドは?」

「……バッグにまだ入っていると思う」

畳み掛けるように言われて答えると、美夜ちゃんが仏間にとって返し、私のバッグを持ってきてくれた。

バッグの中身はそのままだから、白い化粧箱もそのままだ。

見つけて手渡すと、母さんは眉を困らせ、美夜ちゃんは興奮したように私と化粧箱を見ている。

「麻衣子さんこれ、あまり有名じゃないけど、オーダーメイドジュエリーの専門店のロゴ! 一般販売されているのでも、何十万ってお値段の専門店!」

「た、倒れていい?」

「ダメに決まってるでしょ。あんた、くれた人にちゃんとお礼を言った?」

母さんの言葉にムッとする。

「ちゃんと言った! 言ったけど……」

まさか本物だなんて思わないから、何も考えずに受け取っちゃったよ~。

頭を抱えて俯く私に、母さんの言葉が響く。

「あんたが相手をどう思ってるかわからないけど、相手の意図は明らかじゃない? 普通、なんとも思っていない女に、ダイヤモンドをプレゼントすることはないわよ」

その言葉と同時にペンダントを返してもらい、それを強く握りしめた。

私は、どうすればいいんだろう。









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