キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~

雨と涙



【 優愛side 】



とうとう、季節は蒸し暑い夏になりました。

私の大嫌いな季節。

だって、暑いし、落ち着かないし。

何してもやる気起きないし。

中山くんとも…接点ないし、ずっと話してない。


はぁー。とため息をついた時ー。


「ねぇ、中山く~ん!
今日はお弁当どうしたのぉ?」


なんとも言えないぶりっ子女のあまーい声に
ゾクゾクッと鳥肌が立って、
思わず腕をさすった。


「あぁ。うん、忘れたんだ」


そう言ってひきつり笑顔を見せる中山くん。

…お弁当、忘れたんだ。
だから朝から機嫌が悪かったのね。


「えぇ、そうなの!?
かわいそう~じゃあ私のお弁当わけたげる♪」


ぶりっ子女は
当たり前のように中山くんの隣に腰をおろし、
中山くんと何やら楽しそうに話していた。


何よ…私には冷たいくせにっ!
私には、そんな笑顔も向けてくれないくせにっ!
そのぶりっ子女のどこがいいわけっ!?

ムカムカ…ムカムカ…


まぢでムカつくんですけど?


彼は本当に…



私をイラつかせる名人だ。


イライラしつつ、
持参してきたお弁当を穂希と一緒に食べながら、
机の下で、足を意味なくバタつかせる。


「はぁ、そのバタバタさせんの、止めなさいよ」


「だってぇさ!ありえんくない!?」


「あぁ、琥珀のこと?あんなの日常茶飯事じゃん。
未だに気にしてんの?いい加減慣れなよ」


「何、私がおかしいの!?」



このままいけば、穂希と口論!

だったんだけど…


「相川ー。先輩が呼んでるぞー」


突然、クラスの男子に大声でそう言われた。

呼んでるって…だれ。
私、先輩なんかと関わり持ってないし。
少し前までは中山くん関係でちょっとお呼ばれされたことはあるけど…
最近は全くと言っていいほどない。
そりゃ、そうだよね。
付きまとうの、もうやめたんだもん。


けど、いい加減…



中山くん不足だ。

"だいっきらい!"
なんて思ってもないことをくちばしってしまったけど、
やっぱり私は……
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