佐野くんっ…!!
私がボーッとしながら歩いていると、



「いてっ…」



誰かにぶつかった。

私はハッと我に返り、相手の姿を見た。



「ごめん…、って佐野くん?」



そこには私服姿の佐野くんが立っていた。

手にはビニール袋。
おそらくコンビニにでも寄ったんだろう。

佐野くんは、じーっと私の顔を見てきている。

恥ずかしいような腹立たしいような…



「もう家に帰ったんだ?」



私はおもむろに口を開いた。

彼は、「あぁ」と短く返事をして、



「まぁ…、近いし」



少し私から視線をそらして答えた。


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