雨上がり、空を見上げた。


そこで先輩と目が合ってしまいいつもの爽やかな笑顔に戻ったので安心していた。

やがて花火は終わり
先輩が『綺麗だったね』と言うから私も真似して『綺麗だった』と笑って答えた。


まだずっと繋がれたままの手が熱い。
その熱さえ心地よかった


花火を見に来た人達は一斉に各自の戻る場所に帰っていき本当に私達二人だけになった。


それでもお互いに何も話さずただ手を握っていた。

そこからどのくらい時間が経ったかあまり覚えていないけれど、先に口を開いたのは私だった

『先輩、そろそろ帰りましょう』

そう小さな声で言って立ち上がろうとした瞬間、繋いでいた手をぐっと引っ張られバランスを崩した私は気付いた時には先輩の胸の中で抱きしめられていた。


『せんぱ…い…?』

驚きすぎてしゃがれた声で呼んだ。



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