雨上がり、空を見上げた。



『もうすぐ始まるから。ここ、虹花と来たいなってずっと思ってたんだ』

願い事が叶った子どもみたいな笑顔で先輩が言うから私は嬉しくなってひとりで舞い上がっていた。

その時、

映画でよく観たことのある銃声に似た音が聞こえて花火が始まったと理解するまでに時間はかからなかった。


静かな神社の階段にふたりで座り打ち上がる花火を一緒に見ていた。


こうしていつもふたりで同じ方向を向いて、同じものを綺麗だと感じて、同じものに涙を流して、同じ気持ちでいたい、そう思った時には私はもうどうしようもないくらいこの人の事が好きだと気付いていた。


それはいつからなのかなんて分からない。

梅雨が終わった空は青くて晴れ晴れとしていて先輩の優しい笑顔によく似ていた。

そんな笑顔をみていたせいかもしれない。
なんて、そんな事を考えていた。

ふと隣を見てみると花火を真剣に見つめる横顔が切なくて今にも消えてしまいそうだった。



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