エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「白紙……ですか? それは、仕切り直しとかではなくて、お話そのものがなくなったということでしょうか?」

頭が混乱をする。だって金田さんとは、商品の絞り込みや、数量や納品のタイミングなど、かなり具体的に話を進めていた。

これから上層部とのすり合わせが始まるという段階で、どうして白紙になるの?

動揺を隠せない私に、課長は力なく言った。

「矢吹病院の上のほうで、待ったがかけられたらしい。事務長から連絡があったんだが、そのあとに金田さんからもお詫びをされたよ」

そんな……。まさか、恵さんが? そんな風に思いたくないのに、疑惑ばかりが募っていく。

今回の案件は、自分の評価だけでなく、一課の数字にも会社としても大きなものだったのに……。

きちんとした理由なく白紙になるなんて、とても納得できない。

「課長、金田さんに会いに行ってもよろしいですか? 直接、理由を聞かなければ……。私に落ち度があるなら、改めたいんです」

こんな勝手な主張が、通るか分からない。それでも、言わずにはいられなかった。

課長は腕を組み、しばらく考え込んでいる。そして、大きく深呼吸をして私をじっと見た。

「分かった。小松さんの頑張りは、ずっと見ていたから。責任は俺が取ろう」

「ありがとうございます! 理由を、必ず伺ってきます」

簡単に、白紙になんてできない。もし、私のプライベートが会社に影響しているなら、そんなこと我慢できるはずがないから……。
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