エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
翌日、空は気持ちいいくらいに晴れ渡っている。先生は、院長先生と午前中に約束をしているらしく、八時にはマンションを出ていった。

彼の実家に向かうらしい。私は、十一時半に恵さんと会う予定になっていて、支度をするとタクシーに乗り込んだ。

先生と一緒に行った市場は、もうなくなっていて、船を見にきたらしい人たちが、ちらほらいるくらい。

船の入り口では、厳重に出入りする人をチェックしている。豪華客船ということで、以前友人の結婚式に着ていったドレスを急きょ用意した。

浮いたらどうしようか不安だったけれど、ドレスアップした人たちが多くホッとする。

入り口で、恵さんから貰った招待状を見せると、別の男性クルーが案内してくれた。

一般利用者が使える場所は限られているようだけれど、高級ホテルを思わせる螺旋階段や、吹奏楽の生演奏など、船の豪華で贅沢な雰囲気は充分味わえる。

「こちらでございます。すでに、皆さまお着きでございますので」

個室の部屋らしきドアの前で止まったクルーが、静かにノックをしている。

皆さまって、恵さんだけじゃないということ? 状況が飲めない私は、クルーに促されるまま部屋に入る。

すると、日差しが差し込む明るい部屋には大きなテーブルが置かれていて、目の前には先生が座っていた。

「久美⁉︎ どうして、きみがいるんだ?」
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