エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「はい、温かいお言葉をありがとうございます」

先生と堂浦夫妻が見送りをするなか、矢吹院長夫妻と恵さんは部屋を出ていった。

恵さんは、先生との結婚に希望を持っていたのか、矢吹院長の言葉に放心状態だった。

だけど、私をここに呼び出し、先生と別れさせようとしていたことを彼女が話してくれて、先生との結婚話は、完全になくなった……。

「小松久美さんといったね。柊也から、話を聞いていたよ。大変な騒動に、巻き込んでしまってすまなかったね」

堂浦院長に声をかけられ、私は背筋が伸びる思いで視線を合わせる。

優しく見える眼差しは、先生にそっくり……。

「とんでもないです。ご挨拶が遅れまして、失礼いたしました。改めまして、小松久美と申します」

「久美さん、今日は驚いたでしょう? 私たちも、まさかいらっしゃるとは思わず、ビックリしました」

院長夫人は、そう言って穏やかに微笑んでいる。院長夫妻は、先生と私の交際に反対じゃないのかな……。

かなり緊張しながら、院長夫人に応えた。

「まさか、院長ご夫妻や先生が、いらっしゃるとは思いませんでした。今日は恵さんに、先生とお別れすると伝えるつもりだったんです」
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