エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「そんなに、仕事が好きなのかね?」

堂浦院長に聞かれ、少しだけ先生に目をやった。

「柊也先生に、助けてもらったからです。先生に出会わなければ、今仕事を頑張れていませんでした」

「柊也に?」

問われた私は、入院中の出来事を話す。自暴自棄になった私を、救ってくれたこと。

だから仕事を頑張れて、軌道に乗り始めたこと。応援してくれている上司に、これ以上迷惑をかけたくなかったことを説明した。

「今は、仕事を頑張る自分を取るべきだと思ったんです。もっともっと頑張って、それからもう一度先生に、私から告白しようと考えていました」

それが、私を支えてくれた先生に見せられる、精一杯の成長した姿だと思ったから……。

「意思の強いお嬢さんなんだな。柊也も、彼女と話したいことがあるだろう。私たちは帰ろうか」

と、矢吹院長は夫人に目を向ける。すると、院長夫人はにこやかな顔をして頷いた。

「そうですね。では、久美さん。またお会いしましょう」

夫人に声をかけてもらい、深々と頭を下げる。院長先生も部屋を出る間際、私に声をかけてくれた。

「久美さん、柊也をお願いするよ。隆斗には、私たちからお灸を据えておく」
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