エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
明日のソンシリティ病院へ納品する商品の手配を終えたあと、他に営業で回る場所をピックアップし、それを課長に提出する。

そして今日の業務は終了し、オフィスをあとにする。電車通勤の私は駅に向かい、ホームでスマホを取り出した。

とても緊張するけれど、先生にメールをしてみよう……。明日の納品の報告と、試供品の感想が聞きたいし。

ドキドキしながら操作をすると、メールが一件来ていた。

「あれ……?」

普段、滅多に来ない受信ボックスに『1』の数字がついている。

誰からだろうと不思議に思いながら確認をすると、堂浦先生からのメールで驚いてしまった。

《ジュース、とても美味しかった。ありがとう》

飲んでくれたんだ……。しかも、感想までくれてーー。

先生が忙しいのはよく分かっているつもりだから、メールをくれただけで嬉しくなる。

心がほんわか温かくなるのを感じながら、私も返事を打つ。

私もメールを送ろうと思っていたことや、試供品の感想のお礼、そして明日の納品を伝えた。

売店には、これからも定期的に営業にまわる予定にしているけれど、多忙な先生にはなかなか会えないと思う。

だから、こうやって自分の仕事や、商品のことを伝えられてよかった。

私からのささやかな恩返しを、先生に受け取ってもらいたいーー。
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