届かぬ想い
後日、純哉と一緒に飲みに来ていた。

最近は合コンより純哉とサシ飲みのほうが増えた。


「そういえば最近、アヤノ見ないな」


急にそんなことを言い出す純哉。

そういえばもなにも、見てないのは当たり前。


「あーなんか留学、したらしいよ?」

「まじで?」

「あぁ、この前優太が言ってた」

「へー」


へーってお前さ、話振っておいてその態度どうなの?


「優太に何も言わないで留学、したらしいよ?」

「それもセツナイな」

「だよな、って。は?誰が?優太が?」

「いや、アヤノが」

「アヤノは勝手に留学したんだよ?なんでそれでアイツがセツナイなんだよ」

「好きすぎて離れるのを選んだんだろ、アヤノは。だから何も言わないでいなくなったんだろ?」


そんなのもわかんねーのって顔で見る純哉。

コイツも俺と一緒で、てきとーな恋愛してると思ってたら案外違うのか?


「ま、俺の想像だけど」

「いなくなって大事だって気づいたって優太言ってた」

「で?お前も?」

「は?」

「これでウンて言わなきゃ、俺友達やめるけど?」


何から何までお見通しで

鋭すぎるこの親友に何も言えずにうなずく。


「今日はとことん飲もうな、朔也」

「……さんきゅ」


その日浴びるほど飲んだ

次の日の朝、もう二度と酒なんで飲まないと誓って

その日の夜には向かい酒とかいいながらまた飲んだ俺たち。

この親友にはほんとに、まったく、感謝しかない。
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