続*もう一度君にキスしたかった

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関東に戻って一週間、朝比奈さんは月曜からすぐに仕事に復帰し、いつもと変わらない日が過ぎた。
私は消毒だとかもあるしまだ痛むんじゃないかとか心配で、ずっと彼の部屋に泊まり、ふと気づいたことは、プライベートの時間にあった木藤さんからの連絡がぐんと減ったということだろうか。


今日は日曜、大阪からの帰りに朝比奈さんとかわした会話の記憶もまだ新しい。
私は偶然、会話に上がっていた間宮さん本人に出くわすことになる。


十月の心地良い気候、薄手のロングカーディガンを羽織っているけれど、陽の当たる場所では暑いくらいだった。
デートがてらにとあるショッピングモールのハロウィンのイベント会場を見に来ていて、そこの責任者とばったり会った朝比奈さんは、何やら仕事の話に雪崩れ込んでしまった。


昔からの知り合いだったらしい。
私も挨拶をして暫く傍にいたのだが、私がいても仕方のない話の内容だったのでその場を離れ、目当てだった自分の担当の販売スペースに向かって歩いていた。


「こら、走るなって迷惑になるから!」


男の人の焦った声が聞こえて、自然そちらへ目がいった。
背の高い男の人が腰を屈めて、きゃあきゃあ燥ぐ小さな男の子を捕まえている。


ニ、三歳くらいだろうか?
一番大変な時期だろうなあと眺めていれば、男の人が顔を上げ周囲に向かって笑いながら軽く会釈をした。


周囲も苦笑いしながら会釈を返して、微笑ましい。
だけど私はその男の人に見覚えがあるなあと、ついじっと凝視してしまっていた。


私の視線に気が付いたのか、ばちっと目が合って、その瞬間に彼が誰なのか思い出す。


スーツじゃないから印象がいつもより少し若く見えるが、先日朝比奈さんとの会話に上った間宮さん、その人だった。


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