続*もう一度君にキスしたかった


「んっ……、でも」


キスがそれて首筋を降りていく。
手のひらが腰を掴んで、身体の線を辿り、指先が胸の少し下を捉える。


「何?」


会話を続けたいのに、やらしいことも同時進行のつもりのようだ。


「最初は、仕事しながら、そのうち辞めてとか。そういう選択肢は……」

「……真帆、気付いてないみたいだけど」

「え?」


朝比奈さんが手を止めた。
そして、首筋から顔を上げ、私に苦笑いを向けた。


「結婚したら多分、同じ部署には居られない。僕は戻ってきたばかりだし、どう考えても異動させられるのは真帆の方だよ」


全く、その可能性に気が付いていなかった自分が間抜けだと思った。


「そうなんですか?」

「前例があったよ、企画部だったかな。女性の方が部署異動したよ。真帆が仕事を続けたいのは、マネージャーという仕事に拘ってるからでしょう。だったら、働き続ける意味がなくなる」

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