続*もう一度君にキスしたかった


こんな時、いつも考えてしまう。
朝比奈さんなら、どう対応を、どんな言葉を。


謝罪ひとつ、弁明ひとつ、同じことをしても同じ結果はきっと得られない。
それがあの人と私の差でもあり、やはり遠いなあと思う瞬間だ。


だけど、それでもやっぱり朝比奈さんと一緒に仕事をしていた時、目にしてきたものが常に私の指針でもあった。


東武百貨店に着き、どういう過程でミスに繋がったのかの説明を店長のカナちゃんから一通り聞き、傍にはその原因となったバイトの販売員が泣きそうな顔で立っている。


「私のミスです。一緒に謝りに行かせてください」

「今日の遅番、西口さんとあなただけでしょう。抜けたら店が大変じゃない」

「でも」


責任を取って謝罪に行くのは私たちマネージャーの仕事だ。
朝比奈さんならこんな時、「謝るのは僕の仕事だから、今後は気を付けてね」と優しい対応をしていた。


それでもなぜか、威厳があった。
きっと私が同じことをしても、舐められると言えば言葉は悪いが、甘く見られても困るのだ。

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