続*もう一度君にキスしたかった
四月に再会してから半年、付き合い始めてから四か月と少し。
ひと夏を越え、季節は秋を迎えたばかりで日中はまだまだ暑いが、朝晩は少し冷えるようになってきた。


洋菓子業界はクリスマス商戦に入る前の中休みといった空気で、少々気が抜ける時期。
ちょっとは時間に余裕ができるかと思いきや、朝比奈さんはこの時期を狙っての大阪出張が増えそうだ。


今朝もいつもより早い時間に出なければならないので、アラームは一時間早めにしてあった。
私は出勤まで余裕がある。
だから急いで朝食の準備をし、ふたり一緒に食べて、彼を送り出してから出勤の身支度をする。


玄関先、ぴしっとスーツを着こなした彼からは、寝起きのあのゆるゆる加減は見当たらない。

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