続*もう一度君にキスしたかった
ピピピピピ、とまだアラームはうるさい。


彼がようやく私の肩から顔を上げ、寝転がったまま腕を伸ばす。
そして私がまったく手が届かなかったスマホをやすやすと取り、画面上で親指をスライドさせた。


アラーム音が止まる。
それとほぼ同時に私の目の前にスマホが差し出され、受け取ってほっと脱力した。


これでようやく、朝の支度ができる。
上半身をベッドから起こすと、まだだるそうにしている彼を励まそうと、目の前で彼の頬を軽く叩いた。


「朝比奈さん。顔洗って、支度しなくちゃ」

「ん」

「その間にコーヒー淹れてご飯の用意しときます」

「真帆」

「はい?」


ふわ、と緩い微笑みが近づいて、軽く唇にキスされた。


「おはよ」

「……おはようございます」


ああ、もう。
どんなに起こすのが大変でも、こんな顔をされたら文句も言えなくなってしまう。

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