続*もう一度君にキスしたかった
「あ、そうだっけ」

「そうそう。急ぎだったら電話してみれば?」


それはダメー!!


朝比奈さんの携帯の着信音の設定がどうなってるのかわからない。


万一音が鳴ったら、ここにいるってバレてしまう。


もがきながら朝比奈さんのスーツを掴んで引っ張ってみるが、全く離れる気配がない。
どころか、片腕でしっかり頭を抱き込まれ、耳に触れた手の指に耳朶を擽られ益々力が抜けていく。


声を出さないように、で精一杯だ。


「週明けは戻ってるよね、それからでも間に合うから大丈夫。ありがとう伊崎くん」

「おう」


そんな会話が聞こえて足音が遠ざかる。
心底ほっとして。


ちゅ、ちゅ、と味わうような彼のキスもまた、緩やかに終息した。


ようやく息が付け、抱き寄せる腕の力も緩む。
彼の目を見ると、嬉しそうに笑っていて。


「真帆、可愛い」


私は腹立ち紛れにばしん!と強く朝比奈さんの胸を叩いた。


「ひどいです!もう!」

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