【完】恋歌
じゃりっ


と、磨き上げたエナメルの靴が、砂を噛む音が周りに響く。
彼女はじっと動かない。
瞳は彼に釘付けになったままだった。
けれど、明らかに先程と違うのは…その瞳が呼応するように変化した事だった。



「ヴァンパイア・ハンター……ダンピール。俺は貴女をずっとずっと待っていた。貴女が俺の前に現れてくれる事を、ずっと…」

「…ヴァンパイアのお前が、この私に同情するのか…?」


少しだけ、彼女の口調が苦痛で歪む。
彼は、そんな彼女を抱き締めたい衝動に駆られた。

けれど、その想いを形にする事はしなかった…。

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