【完】恋歌


「私は、全てを恨んで生きてきた…」


とだけ、告げた。
その顔はとても傷付いていて、深く影を落とした。


あぁ、こんなにもアイに飢えている。
この人も、…オレも。



そう思ったら、オレは足音もなく彼女の傍に近付いて、彼女の肩に手を乗せていた。


「…っ」


びくりと跳ねる肩。
その華奢さに驚いて、オレも手を静かに引いた。


「ごめんね…?」

「…っ。別に、これくらい…」


咄嗟に謝ったオレに向けて、彼女は精一杯の強がりを言う。


出逢うまでは、こんな風な顔を彼女にさせられるなんて思わなかったのに…。



オレは、ゆっくりとまた彼女の肩に触れて、すっと息を飲んだ。

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