【完】恋歌
…はらはらと風に舞う雫。
がくりと項垂れて、聖剣を地面に投げ出すと、そのまま力尽きてそこへ座りこんだ。
「…凜音は…優しいね…」
そんなことはない。
そんな風に言われたことなど…一度もない。
「オレは、そんな凜音が愛しくて堪らないよ…」
そう囁くように言われたかと思ったら、そのままスクッと掬い上げられ、もう一度腕の中に…今度は顔が埋まるほど強く、抱き締められた。
「泣かないで、愛しい人…オレが全部あげるから…オレを全部、あげるから…」
どうしたらいいのか、分からなかった。
けれど、もう…このまま身を任せてしまおうと覚悟した。