《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
つまり今乗ってきたのが午前の停車であり、その後は夕方まで停車しないのだ。
「だったら次の果樹園まで行って、そこから折り返せば良かったって事…?」
言っているそばから遠方で汽笛が鳴り響いた。果樹園から戻りの列車のものだろう。
時刻表が間違えているという淡い期待を込めて乗降場に戻り待ってみるものの、その期待虚しく列車は猛特急で通過して行ってしまった。吹き返しの強い風が容赦なく吹き抜ける。
「……あー、完全にまずいな。どうする? 夕方までまだまだたっぷり時間があるぜ?」
「どうしよう。夕方まで待ってからだと王宮に戻るまでに日が暮れちゃうよ」
「だよなぁ。ここから歩いて果樹園まで行くって言ってもかなりの獣道だもんな」
「でも何もしないで待ってるよりは…」
「なあなあ。この崖、高架橋づてに下には降りられないのか? 降りれたら近道だろ」
高架橋の下は旧市街だ。しかもちょうど真下はペンディ地区という坂の街で、王宮がある中央区とは隣接している。ペンディ地区からなら比較的王宮に早く戻られるのだが…
「確かに降りれたらいいけど、誤ってこの高さから落ちでもしたら流石に怪我だけじゃ済まないよ?」
「ああ……だからか。ここの噂で出るって奴」
「……え、なにが?」
「だからさ。死に場所を探してさ迷った挙句、此処テチラドに辿り着いてこの崖から飛び降りた奴の幽霊なんじゃね?」
「うわぁ…」
納得したのかラインアーサは身震いしながら肩を竦めた。
「なんて言ってないで解決策を探そうぜ!」
「そ、そうだね!」
先程よりも若干空気の温度が下がった様な錯覚を覚えながらも二人で解決策を模索する。
「てかたぶん崖の下まで行ける階段とか昇降機とかあるはずだろ…ああ、あれとか違うか?」
「あっ、たぶんそうだよ!」
ラインアーサが手元を光らせたまま駆け寄る。確かに昇降機だ。しかしすぐ様落胆する。
見た目はとても大きく豪華な作りの昇降機だが、煌像術が切れていて動かなかった。
「はあ……うんともすんともだな」
「煌像術が切れてるなら仕方がないよ。でももったいないよね…」
「ほんと。この停車場いったい何の為にあるんだよ」
「昇降機ってどんな煌像術で動いてるのかな? 今度ジュストベルに聞いてみようかな」
「ったくアーサは真面目だよな。あ、あっち階段っぽいな。行ってみようぜ」
奥に行く程薄暗く埃っぽい。
「だったら次の果樹園まで行って、そこから折り返せば良かったって事…?」
言っているそばから遠方で汽笛が鳴り響いた。果樹園から戻りの列車のものだろう。
時刻表が間違えているという淡い期待を込めて乗降場に戻り待ってみるものの、その期待虚しく列車は猛特急で通過して行ってしまった。吹き返しの強い風が容赦なく吹き抜ける。
「……あー、完全にまずいな。どうする? 夕方までまだまだたっぷり時間があるぜ?」
「どうしよう。夕方まで待ってからだと王宮に戻るまでに日が暮れちゃうよ」
「だよなぁ。ここから歩いて果樹園まで行くって言ってもかなりの獣道だもんな」
「でも何もしないで待ってるよりは…」
「なあなあ。この崖、高架橋づてに下には降りられないのか? 降りれたら近道だろ」
高架橋の下は旧市街だ。しかもちょうど真下はペンディ地区という坂の街で、王宮がある中央区とは隣接している。ペンディ地区からなら比較的王宮に早く戻られるのだが…
「確かに降りれたらいいけど、誤ってこの高さから落ちでもしたら流石に怪我だけじゃ済まないよ?」
「ああ……だからか。ここの噂で出るって奴」
「……え、なにが?」
「だからさ。死に場所を探してさ迷った挙句、此処テチラドに辿り着いてこの崖から飛び降りた奴の幽霊なんじゃね?」
「うわぁ…」
納得したのかラインアーサは身震いしながら肩を竦めた。
「なんて言ってないで解決策を探そうぜ!」
「そ、そうだね!」
先程よりも若干空気の温度が下がった様な錯覚を覚えながらも二人で解決策を模索する。
「てかたぶん崖の下まで行ける階段とか昇降機とかあるはずだろ…ああ、あれとか違うか?」
「あっ、たぶんそうだよ!」
ラインアーサが手元を光らせたまま駆け寄る。確かに昇降機だ。しかしすぐ様落胆する。
見た目はとても大きく豪華な作りの昇降機だが、煌像術が切れていて動かなかった。
「はあ……うんともすんともだな」
「煌像術が切れてるなら仕方がないよ。でももったいないよね…」
「ほんと。この停車場いったい何の為にあるんだよ」
「昇降機ってどんな煌像術で動いてるのかな? 今度ジュストベルに聞いてみようかな」
「ったくアーサは真面目だよな。あ、あっち階段っぽいな。行ってみようぜ」
奥に行く程薄暗く埃っぽい。