釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~


明日も早くに来るかな?

そんな事を考えると、朝一フロアに響く彼女の足音を聞くたびに嬉しい気持ちになって

顔を合わす度に、少しずつ重ねる会話。

それがたまには愚痴だったとしても、彼女は本当に愚痴りたいのか、いつも楽しそうに笑うんだ。


彼女から伝わる仕事への意欲。

夢、希望。

いつの間にか俺にも伝染ってて、彼女の事を考えながら仕事へ励むようになっていた。

一、従業員と社長の俺とじゃあ、立場なんて全く違うのに・・・

可笑しいことに、彼女と並んで仕事をしたいと。

・・・そういう気持ちで仕事をしたいと思うようになって

週末はとてもつまらなかった。

どうして、君の事ばかり考えてしまうんだろうって不思議だった。

その意味に少し気付いたのはいつだったかな。

君がいつもの時間に出社して来なくて、凄く心配になったんだ。

普通ならこんな朝早く出社してるほうがおかしいのに。

無理をしすぎて倒れたんじゃないか。風邪でもひいてるんじゃないかって・・・

いよいよ、不安が募って。

なかなか、社長室から出ない俺が、君のいる企画部まで足を運んだ。

ガラス窓で仕切られてる部署内は通路から簡単に中の様子が見れる。

落ち着かない気持ちで中を覗くと、君がよく話してるチームの仲間と一緒に仕事をしていたのだろう。

君は朝一見せるような疲れた顔なんかじゃなく、生き生きとした表情で、打ち合わせをしている様だった。

安心感と共に俺の中でひっそりと顔を見せた不安感。

あの仲間の中に、彼女の良い人がいるのかな。

そんな事を考えて

気持ちが沈んだんだ。

そりゃそうだ。

どうして今まで彼女に恋人くらいいるだろうかって疑わなかったのか・・・

それはきっと、少し前までと今とでは、俺の気持ちの居所が違ってきているからなんだって・・・

気付いたんだ。


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