釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~



わざわざ指をささなくてもそこに書かれているのは〃Prince fell in love〃(恋に落ちた王子様)だ。

「よく読んで。

俺が君にプレゼントするのに、君の作った物そのものを渡すと思ってる?

君の香水は世の中の恋人達のものだ。

だけど、俺の持ってきたものは世界中で、ただ一つこれだけ。」

「えっ・・・?」

驚いて

響君の指差すアルファベッドを覗きこみ、言葉にした。



〃Prince, which was dropped in love〃


「これって・・・」


思わず、響君の顔を見上げると

後ろから彩花の

「『恋に落とされた王子様』・・・姉ちゃん、それなら責任とらなきゃね」と、くすくす笑う声が聞こえた。

「それを伝えるためだけにこの1本を作ったの・・・?」

呆れと、驚きが混じった表情で響君を見つめると

彼は照れ臭そうに笑顔を返す。


「そうだよ。いつも君があまりにも可愛い顔と声で俺を誘惑するからさ・・・

誘惑されるまま、誘惑されちゃったんだ。

ほら、だから・・・」

だからYESと答えろと?

私がYESと答えたら

「響君が不幸になるかもしれないのに・・・?」

私がYESと答えたら、響君が全てを失うかもしれない。


「まだ、分からない?」

俯く私の頬をむにっと掴まえて、私の視界に映るその真剣な眼差し。

「俺の人生に必要なのは

彩葉ちゃん

君だけなんだよ」


どんなキザなプロポーズの言葉よりも

一番私の心を動かした。

そう・・・私も根本は同じなんだ。


君以外の人なんて

要らない。



「私を選らんだこと・・・後悔しないでね?」

不安を掻き消したくて

その体にギュッと抱きついた。

「そんな安易な気持ちで、君に会いにきたりなんかしないよ」

力強くその腕で抱き締めてくれる。

君は私だけの王子様・・・・






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