社長は今日も私にだけ意地悪。
そうこう話しているうちに、目的の打ち合わせ室に到着した。

このフロアの大半が、社員とアーティストが打ち合わせに使用出来る個室になっている。

大人数用の大きな部屋もあるけれど、これから使うのは小部屋だ。会社見学の時に見させてもらったことがあるけれど、広さは確か六畳ほどだったはず。


そして、私が今日から担当するアーティストは、もうこの部屋の中で待っているとのこと。


緊張が強まる。


そんな私の様子に気付いていないのか、もしくは気付いているけど無視してなのか、佐藤さんは早速扉をノックし、「失礼します」と言いながらドアノブを回して中に入る。私も慌てて彼の後に続いた。



全体的に白を基調とした会議室には、長テーブルが一つとパイプ椅子が数個置かれている。


壁に寄り掛かって携帯をいじっている人、椅子に座って頬杖をついている人など、待ち方は様々だった。
そこで待っていたのは、私と同い年くらいの四人の男性ーーこれから担当するアーティスト『RED search』だ。
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