キミはずっと、かけがえない人



そして、辞めてすぐ湖陵へ正社員として入った。

私が入るまで、社長の秘書が副社長の秘書も兼務していた。

行動を共にすることが多いから、その方がラクなんだとか。

それに、私が入ることが決まっていたから、あえて指名しなかったらしい。

だから私は、社長の秘書から学ぶことになった。


仕事の中身もそうなんだけど、得意先の人とかを覚えるのも大変だった。

1日中人に逢って、紹介されて名刺交換して。

人の顔を覚えるのが苦手な私は、1番大変な作業かもしれない。


彼は彼で、仕事中は容赦ない。

すぐ怒るとかじゃないけど、甘えは一切なかった。

それは、じいさまも同じだった。

そこはさすがだなと思った。



「お疲れみたいだね」



湖陵に入って一週間が終わった時、家に帰ってぐったりしている私を見て言う。



「さすが湖陵だね。人付き合いが半端ない……」




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