キミはずっと、かけがえない人



「行けば分かるから」



そればっかり。

行く前に教えてくれればいいのに。

この格好からにして不自然すぎる。

まぁ、親もいるんだから変なとこに連れてはいかれないだろうけど。

何でそこまでかたくなに教えてくれないのか、謎すぎる。

そんなに隠さなきゃいけないことだろうか。

どうせ、行けば全て分かる。

それが早いか遅いかだけの違いだと思うけど。


そう思いながらも、何を聞いても答えてくれないから、仕方なく黙って乗っていた。

だんだん暗くなって、街灯や店の明かりがついた頃、目的地に着いたのか、車は止まった。

そこは、高級ホテルだった。

一般人の私が泊まることは、絶対出来ない場所。

ランチやディナーのみを楽しむことも出来るけど、それだって高い。

私がいくら頑張ったって、出せる訳がない。

住む世界が違う人たちが行くところだ。

そんな風に認識しているホテルの中のレストランへ入っていく。




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